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幕末異聞 人斬りの恋

2013年11月8日(金) @博品館劇場

原作・脚本・演出: 佐藤伸之  

タイトルのとおり幕末のお話。
江戸から明治への時代の大きな流れに巻き込まれた人たち。

西郷さんの腹違いの弟、黒田又右衛門の運命。

メジャーな劇場でのお芝居、メインの役者さんは、浅茅陽子と渋谷哲平だけれど、この方たちは主役ではなし。

渋谷哲平が演じた蘭学者牧野新三郎の盲目の妻朋江や新三郎が敵かもしれないのに友情を築いた又右衛門、仲間の半次郎が維新の闘いに巻き込まれた中心の人たち。

争いごとのある時代には、必ず陰で支える強くやさしい女性たちがいる。

又右衛門と文のやりとりをして義理の弟をいつも按じていた西郷隆盛の妻イト。目の見えない義姉に寄り添う新三郎の妹。

幕開けと幕切れが同じ場面。この姉妹に亡くなった又右衛門の手紙を渡すイト。
三人とも大切な人を失ったという悲しい共通点を持つ。

時代が移り変わるのと、桜が咲き季節が巡る無常、切なさがたっぷりのお芝居でした。

演劇ビジネスというもの、あまり理解していない私だけれど、名が知れた役者さんを配役しなくても十分成り立ついいストーリーだったと思う。名の知れた人を使わなければ、舞台装置を含めた演出にもっとお金をかけられたりできるのかしら、なんてことをちょっと思ったのであった。でも結局は集客がすべてってことなんだろうな。
芝居に限らず、いいものを多くの人に知ってもらい、かつ収益になるというのはなかなか難しいのだ。
# by rainy_june | 2013-11-10 20:59 | 芝居のお散歩

音屋吉右衛門 2013 Autumn

2013年11月2日(土) @STB139

世良公則(vo/g)
野村義男(g)

2月のときと同様"BACKBONE"を軸にしたライヴ。

始めの2曲「ソ・シ・テ・ボクハ・・・眠リニ堕チテユク」、「銃爪」とオリジナルなのは、8月のRollyのときのような構成。


「ずっと好きだった」(斉藤和義)、「さすらい」(奥田民生)

ふたりのかけあいは相変わらず、漫才のようだけれど、世良氏が珍しく演奏中間違えてやり直そうとしたところを絶妙なタイミングで上手にフォローするよっちゃんは、才能と世良氏への大きな愛を持っている。

今回は2月になかったよっちゃんのヴォーカル曲。
吉田拓郎の「外は白い雪の夜」
私は吉田拓郎はほとんど聴いていなかったけれど、切なさと季節感のあるいい曲だった。

今回、洋楽カヴァーも復活してくれたのがうれしい。ラストナンバーは
While My Guitar Gently Weeps (Beatles)

音屋を始めた頃のようにもっと洋楽もやってほしい、これから。

アンコールは、やっぱりか「燃えろいい女」。
でも、これはきっとよっちゃんもツイストが大好きだからなのかもしれないと思えた。

私としては、アンコールを違う雰囲気で閉めてほしいのと、洋楽カヴァーも半分くらい入れてほしいなぁというのが次回の期待。

すでに来年の2月に登場するとの告知があったので、さらなる進化を期待しよっ!
# by rainy_june | 2013-11-04 15:49 | 音楽のお散歩

マンハッタン・トランスファー

2013年10月19日(土) @billboard Live Tokyo

トリスト・カーレス / Trist Curless(Vocals)
ジャニス・シーゲル / Janis Siegel(Vocals)
アラン・ポール / Alan Paul(Vocals)
シェリル・ベンティーン / Cheryl Bentyne(Vocals)

オリジナルメンバーのTim Hauser は背中の手術をして来られないとの説明がステージであり、オフィシャルサイトを見てみると脊髄の手術とのこと。

彼の代わりに入ったのはM-Pactのトリスト・カーレス。
この人のことは全く知らなかったけど、コーラスグループ、しかもマントラのメンバーの代役ができるというのだから、すごい。
興行のビジネス的な問題があるからなのだろうけど、4人のコーラスが売りの老舗グループでひとり欠けところにトラを入れてライヴを強行するんだね。
こういうのって、むしろ貴重なライヴという考え方もできて、悪くない。

実際、完璧なステージだった。
パートをひとつずつ加えて歌って、コーラスの成り立ち方を紹介しながら、最後に全員で完成版を歌うなどの演出はとっても楽しかった。

20年以上前に、なんとなく好きになったこのグループ、たくさん曲を知っているわけではない。
でも、いつどの曲を聴いても心地いい。だから好き。

最後の曲 Birdland を耳にして、あぁ、そうそうこれよく聴いてた、流行ってたんだと思い出した。
そのときの自分も若かった頃のことを思い出して、とても懐かしい気持ちになった。

いまさらだけれど、もう少しちゃんとアルバムを聴いてみようかなという気になった。

六本木ミッドランドにあるビルボードは以前から行ってみたかった。今回、初体験。
ステージが開く前はステージの後ろがガラス張りで夜景が観られて開放的。ブルーノートやコットンクラブとはまた少し違う雰囲気。
どこのクラブもいっしょだけれど、自由席の相席はちょっとせせこましい。
今度はカウンターがよいかな。
# by rainy_june | 2013-10-21 21:19 | 音楽のお散歩

芸術祭十月大歌舞伎 夜の部

2013年10月14日(月・祝) @歌舞伎座

通し狂言 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
   四幕目 (三段目口) 木の実 小金吾討死
   五幕目 (三段目切) すし屋
   大 詰  (四段目切) 川連法眼館

通しの義経千本桜は久しぶり?上演はしていたかもしれないが、もっぱら猿之助の四の切ばかり観ていたので、私にとっては久しぶり。

せっかく通しではあるけれど、夜の部だけを観に。
今月の配役、杮落しだからなのか松竹の工夫で同じ登場人物でも幕によっていろんな役者がやっている。
私は仁左衛門が観たかったのと、音羽屋型の四の切を観てみたかったのだ。

私が歌舞伎に引き寄せられたきっかけは三代目猿之助の狐忠信。その後、澤瀉屋の型しか観たことがなかった。大好きな勘三郎さんももちろん派手好きだから、宙乗りのある澤瀉屋型。

ケレンが控えめである音羽屋では、どんな表現になるのかとっても興味があった。

さて、四の切の前に木の実、すし屋のいがみの権太の仁左さま。
やっぱり、悪党でもかっこいいし、芝居が引き締まって観ていて心地いい。
花形で若手だけで頑張っている芝居も大好きだけれど、やっぱりベテランの演技は段違い。当たり前だけど。
仁左衛門さん、肩の故障で来月から休演。12月の猿之助襲名公演の締めくくりでもある京都の顔見世にも出られないということが、とても残念。
だけど、しっかりと治療して元気で戻ってきてほしい。

さてさて、音羽屋の四の切。
幕が開くなり、ケレンのしかけをチェックしてしまった。

澤瀉屋は正面の天井から降りてくるのだが、手をかける鉄棒のようなものがないので、上からは降りてこないことを発見とともに、ちょっと安心。今の菊五郎があんなところから飛び降りたら怪我が心配である。

次に舞台右側に小さい障子窓がない。ということは、本物の忠信との狐忠信の早変わりはなし。

もちろん宙乗りはないので、三階までのワイヤーも張っていない。

通して観て、比べると澤瀉屋がいかにスペクタクル(?)な盛り上がる演出にしていたかということがわかった。

比較でなく、菊五郎の芝居そのものは、子狐を演じるにはもうちょっと無理があるような気がした。
そして、澤瀉屋ほどでないにしても、忠信から狐に変身したり、欄干渡りをしたり、スピーディで軽やかな演技が求められている芝居、しんどそうに見えた。

怪我なく最後まで演じることが一番大事ではあるといえども、欄干渡りをしゃがまず立ったままで渡り出したが、欄干の半ばほどで降りてしまった。
あれは、どうしても「途中で降りちゃった」ように見えちゃうのだ。しゃがまなくてもいいから、せめて最後まで渡ったらやりきっているように見えるのにな。

いろんな発見ができて、見応えはたっぷりあったので、楽しかった。
ぜひ次は菊之助の狐を観てみたい。

芸術祭十月大歌舞伎 夜の部_e0130149_14233244.jpg

# by rainy_june | 2013-10-20 14:23 | 芝居のお散歩

彩の国シェイクスピア・シリーズ第28弾 ベニスの商人

2013年9月22日(日) @ 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

演出: 蜷川幸雄
作: W. シェイクスピア

出演: 市川猿之助、中村倫也、横田栄司、高橋克実、他


彩の国さいたま芸術劇場は、蜷川さんが芸術監督をしていて、シェイクスピアを演るにはピッタリのサイズ、構造、雰囲気の劇場。

そして「十二夜」を歌舞伎でやるなど、歌舞伎にも精通。で、市川猿之助が登場するわけなのだ。

「じゃじゃ馬馴らし」のときは、見事な女役、キャタリーナを演じたが、今回は、歳とった高利貸しのシャイロックの役。

で、私は今回も蜷川テイストのシェイクスピアで、亀ちゃんがどんな面白い芝居をするのかを期待してたのだが、率直な感想としては、「なんだよ、歌舞伎じゃん。」

それもそのはず。後で公演HPの亀ちゃんの動画を観て知ったのだが、日本で最初にシェイクスピアをやったのが、歌舞伎のベニスの商人で、三代目市川左団次がシャイロックをやったとのこと。
で、蜷川さんは、ベニスの商人だけはやりたくなかったのに、亀ちゃんがやりたいと言ってやることになったらしい。

それで、納得の「歌舞伎っぽさ」。それを意識して演じてたんだから、狙いどおりだったんだね。
観客もやはり亀ちゃんファンが多かったとようで、ついつい歌舞伎観劇の習慣で、演技の途中でも見得のような見せ場では、思わず大きな拍手をしてしまう…。「澤瀉屋っ!」と声がかかっても違和感がないくらいの雰囲気になっていた。

それと、じゃじゃ馬と同様に、女性役も男性が演じるところも歌舞伎的。

そんなわけで、いつもの亀ちゃんには、いい意味で大きな感動はなく、いつもの俺様亀を観られてまぁ満足。

それよりもTVでしか観たことのなかった高橋克実の舞台での演技ぶりが楽しかった。TVではわからなかったけど、立っ端があり、舞台映えしてた。TVではなんだかいつも三枚目、道化役の印象が強いけど、ここではカッコよかった。

彩の国さいたま芸術劇場は、都内の劇場と比べてしまうと、場所的にはややめんどくさいけど、劇場としてはとてもいい。コンサートもよいものをやっているし、また足を運びたいところである。
# by rainy_june | 2013-09-23 11:55 | 芝居のお散歩


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